温暖化予測は進化している
★★★★★
2008-12-09
温暖化懐疑論関連本の出版が続いている。似たような内容で手を替え品を替え、もういいだろうと思う。そんな中、温暖化予測の研究に携わっている研究者による本が出た。とはいえ懐疑論批判の本ではない。科学的な取り組みとしての温暖化予測を誠実に伝える本である。
本書では、まず温暖化がどんな問題か、基本的な部分をおさえていく。懐疑論の人が突っ込んでくる点などを意識しながら、どこで認識の齟齬をきたしているかを丁寧に解説する。あからさまな反論ではないが、どこかで目にしたあの人のあの話はこういうことだったのかと思い当たるのではないか。
第2章以降は、気候モデルによる温暖化予測についての説明だ。乱暴にまとめると、予測の際の前提となる条件、コンピュータが解いている方程式、なにが予測されたか、その予測は正しいのか、今後研究はどう進むかがそれである。なるほど、温暖化の予測はそのようにされているのかと、とてもわかりやすく過不足なく説明してくれる。
本書の白眉は第5章だと思う。気候モデルには不確かな部分が残っていることは、研究者自身が一番よく理解している。その不確かさをいかに小さくするか、科学的にどのようにアプローチしたらいいのか、世界中の研究者がどんな試みをし、なにを考えているのかがわかるはずである。
本章により、少なくとも私には、信頼するに足るアプローチが試みられ研究が進んでいるのだと感じた。
「コンピュータの予測なんか」と知った風なことをいう前に、本章に目をとおすのが賢明だろう。
余談だが、186ページを読んで私も温暖化予測のお手伝いを始めた。
温暖化問題を冷静に考えたいあなたへ
★★★★☆
2008-12-04
地球温暖化の予測がどのようにおこなわれるのか、予測の不確かさは何に由来し、どのように測られ、どのように狭められようとしているのか、コンピュータシミュレーションの専門家である筆者が平易に解説している。センセーショナルなタイトル、内容の書籍とは一線を画し、専門分野の解説に終始する筆者の姿勢に好感が持てる。
モデリングの中身について深く知りたい人には物足りないだろうが、シミュレーションがどんな方法でおこなわれているのか、その方法はどんな現実、考え方にもとづいているのかについて説明されており、読者の温暖化リテラシーをあげるという筆者の意図は成功している。
筆者や専門家が予測の限界を理解しながらも、いかに信頼性を向上しようとしているのかが良く理解できた。





